動物その2
子ヤギ一匹捕まえるのに午前中ほとんどつぶれた。
一匹はどんくさいからすぐ捕まえられるが、
もう一匹はすばしこい上に割りと頭がよい。
何故子ヤギを捕まえるのか?!
草をメインに食べ始めたため、隣の畑の枇杷の木の皮やソラマメの葉っぱを食べ始めたんである!
放置状態では好き放題に荒らしまわってしまう!
これはさすがにまずいので、とにかく捕まえて縄につながなければいけない!
柄を長くしてある虫取り網が家にあったのでそいつで追いかけ回して捕まえようとするが藪の中に入られてはどうにもならない。
網を放り投げて藪の中まで追いかけてゆくが向こうの方が早いに決まっている。
山の中に入り込んで、ふと気がつけば、
(ここはこんな風になってたのかあ。)
と初めて入った場所に感心する。
が、感心している場合ではない。
はたまた山ん中を追い掛け回していると、いきなりムニュズポッ!っと片足だけならいいがご丁寧に両足野つぼにはまった!
何十年も使ってない野つぼだから中身は泥水だったが^^;
さらに追い掛け回してやっと網で捕らえた!と思ったら、網の先っぽがスポッと抜けたり!
修理して出直す。
そしてようやく捕まえて縄を首にくくって放したら、プツン!としょうもない古い縄が切れたり!
ほとほとイヤになる。
気を取り直し、また追い掛け回す。
ふと我に返って、
(ええおっさんが何をやってんだろ!?)
と改めてイヤになる。
また気を取り直し、
(そうだ!すずらんを小屋に入れておいてそこに追い込めば必ずすずらんの所へ行く。小屋に入っちまえばこっちのもんだ!)
早く思いつけよ。
さっそく小屋の周りの道に即席バリケードを作り小屋まですずらんを連れて行く。
が、これまたすずらんも草を食うことにしか目がないもんだから全然違う方へ行こうとする!
なんとか力づくで小屋まで連れて行き小屋の中に縛り付けておき、
子ヤギを追う!
うまいこと小屋に入った!
(ははーん!なんてことねえんだって!智恵だよ智恵!智恵に勝るものはねえ!ハハハ)
そして縄を首にくくる。先ほどのプツンと切れた縄をもう一度よく引っ張って切れないことを確かめて改めてくくった。
子ヤギを放した。
プツン!
縄が切れた。
僕も切れた。
ほんとにイヤになった。
少し一服して頭と身体をクールダウンして再挑戦!
先程と同じく子ヤギをすずらんを入れた小屋に追い込む!
小屋まで来て、さあ小屋に入るか!と思いきや、思いっきりバリケードを突破して山の中へ・・・
またもや!
頭がクラクラしてくる。
もうここまで来たら捕まえずにはいられない!
もう一度バリケードを補修して再々挑戦!
そしてなんとか小屋に入った子ヤギ捕獲。
縄につないだ2匹の子ヤギ及びすずらんを縛っておくのもそれぞれが接近しないようにしなければ縄がからまってしまう。
自ずと親子兄弟離れ離れ。
自ずと泣き喚く。
こうした時の子ヤギの鳴き声は赤ん坊の泣き声と似ている。
すずらんも悲痛な叫び声をあげる。あげながらちゃんと草をほおばってはいるが。
離れ離れになっては叫び、エサがなくては叫び、縄がからまっては叫び・・・
この状態が家の上の方で繰り広げられている。
うるさい。
近所に人でもいようものなら、間違いなく苦情である。
それにヤギを縄につなぐということは自ずと彼らにエサを持っていってやらねばならないことになる。
せっせせっせと4匹にエサを配り歩かねばならない!そのエサも山から切り出して来なければならない!
ヤギを縛ることは自分を縛ることなんである!
どうしたものか、真剣に考える。
子ヤギ2匹ともオスというのはかなりの誤算であったが、メスにしてもいずれ増えればやはり同じ問題にぶちあたる。
私は声を大にして言いたい!
「1人でヤギ4匹も飼っちゃいかん!」
後先考えぬ自業自得である。しかしこれを解決せねば他の仕事が進まない!
頭が働かないので、やっぱり
(とりあえずなんとかなるわい。)
と。
ヤギとのすったもんだの後家に帰り、マサムネを見ると、
「お前はほんま頭のええ奴や!ヤギの何十倍もええわい!」
と、マサムネが無性にかわいく思えるのであった。
しかしヤギも悪いことばかりじゃない。
こんなわけで午前中からすずらんの乳は子ヤギに吸われず、夕方になるとパツンパツンに張っていた!
これは搾らないと!
乳を搾るとビュンビュン快調に出る出る!
そして得たヤギ乳、300cc!
無理矢理乳離れ状態の明日からはかなり乳がいただけるだろう。
子ヤギ達はもう草も木の葉も親と同じものを食べ反芻もしているから、悪いが今日から乳離れとさせてもらおう。
しかしこんな生活ようやっとるわ俺^^;